森七菜さん

第42回サンダンス映画祭「NEXT」部門にノミネートされるなど、世界でも注目を集めている映画『炎上』。じゅじゅを演じる森七菜さんは、今作が初めての単独主演作品となる。


トー横で過ごす方の尊厳を大事に、覚悟を持って演じました

両親から厳しい教育と“しつけ”を受けて育った「じゅじゅ」こと小林樹理恵は、家を飛び出し、新宿の歌舞伎町にたどり着く。そこで出会った人たちに救われ、居場所となったはずのトー横に、なぜか彼女は火をつける…。長久允まこと 監督が取材を重ねて作り上げ、第42回サンダンス映画祭「NEXT」部門にノミネートされるなど、世界でも注目を集めている映画『炎上』。じゅじゅを演じる森七菜さんは、今作が初めての単独主演作品となる。

「最初に台本を読んだ時、この作品が自分の未来に繋がっていくんだろうなという予感がして、出演しない選択肢はありませんでした。サンダンス映画祭で完成した作品を観た時に、懐かしさとともに、撮影当時は感じていなかった苦しさや辛さみたいなものが湧き上がってきて、ちょっと泣いちゃったりもしました。

じゅじゅはスポンジみたいに自分以外のものをすべて吸収していくので、良い方にも悪い方にも行ってしまい、トー横という場所にたどり着きます。それが正解か不正解かは彼女にしかわからないことですが、撮影が終わった今、どうか彼女にとっての幸せを掴んでほしいなと思っています」

今作では、時に残酷すぎるトー横の世界が、キラキラとした映像で描かれている。

「台本には、どんな映像になっていくか想像できない部分もたくさんありました。たとえば、『ただただチワワを見る時間』とか、どういうこと? って思いましたが(笑)、長久監督への信頼を持って、どうにか脳みそで処理するように。そういうところが撮影に行く楽しみになる要因の一つでもあったので、怯まずに挑戦してよかったなと思います。

監督から、トー横という場所で生きている若者たちは、それぞれが深い地獄を持ちながらも笑いながら、『ヤバくないですか?』みたいな感じで喋れるような強さがあるというお話を聞いて、本当にそうだなと思いました。この先、何十年と続く人生の一秒一秒すべてを悲劇を抱えながら歩いているわけではないし、コンビニに行って物を買って、友達とじゃれ合う…みたいな時もある。シーンにコントラストがあった方が、彼女たちが抱えているものがより色濃く出るような気がしたので、監督が話してくれたことを取り入れようと思って頑張りました。

ただ、今作がトー横と呼ばれる場所にたどり着いた時に、どのような反応をもらえるかということに一番緊張しています。この映画によって傷つけられる人がいないよう、みなさんの尊厳を守るという気持ちと覚悟を持って演じたつもりです」

じゅじゅが“居場所”を求める気持ちには、共感できるという。

「大事なものですよね。居場所を求めて生きている気もするし、居場所を探そうとすること自体が、その時の自分の居場所になっている感じもあるというか…。必要というより、生きていくために、無意識に求めているものなのかもしれません。居場所がないと安らげないし、眠れない。つまりは、食べられないし、働けないということですから」

Profile

森七菜

もり・なな 2001年8月31日生まれ、大分県出身。『心が叫びたがってるんだ。』で映画初出演。近年の出演作品に、映画『ファーストキス 1ST KISS』『国宝』『フロントライン』『秒速5センチメートル』、ドラマ『ひらやすみ』など。

information

家族から逃げたじゅじゅは、SNSのDMをきっかけに、生きづらさや傷を抱えた者が集う場所・歌舞伎町へ。妹を救い出すことを目標に掲げた彼女は、親友の三ツ葉(アオイヤマダ)たちと過ごすうち、自分の意思を持てるように。そんな彼女に暗い影が忍び寄る。4月10日から全国公開。

写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) スタイリスト・高橋茉優 ヘア&メイク・イ・ボヨン インタビュー、文・重信 綾

anan 2491号(2026年4月8日発売)より
Check!

No.2491掲載

人間関係強化塾 2026

2026年04月08日発売

オンラインでの人間関係、オフラインでの人間関係…様々な関係性が入り組むいまの時代ならではのより良い人間関係のための指南書。最新の会話術、いまどき上下関係マナー、メイク・ファッションによる印象操作術を紹介。

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