20世紀を代表する英国の陶芸家ルーシー・リー。オーストリアに生まれた彼女は、ウィーン工芸美術学校から陶芸の道を歩み始める。だが1938年にナチス・ドイツのオーストリア併合につき亡命を余儀なくされ、英国に移住。ロンドンで当時の美術や東洋陶磁に触れた彼女は、しなやかで優美な形と繊細な色彩の陶芸を生み出すこととなった。


ヨーロッパと日本、双方の視点から陶芸家ルーシー・リー作品をひもとく

本展は10年ぶりとなるリーの大回顧展。国立工芸館に寄託された井内コレクションを中心に、交流のあった作家の作品も交えつつ、彼女の作品の本質を探る内容となっている。

展覧会は全4章立て。1章ではリーの初期作品とともに、ウィーン工房の創設者のひとりヨーゼフ・ホフマンなど同時代に活躍した作家の作品を展示。2章、3章ではロンドン移住後、イギリス陶芸界の中心的役割を担っていたバーナード・リーチや、当時のイギリス陶芸家が影響を受けていた東洋の作家・濱田庄司らの作品も紹介する。また4章は当時の美術のエッセンスを吸収し、自らのスタイルを確立した1970年以降の作品がトリを飾る。

優美で繊細なリーの作品はどのように生まれたのか。本展を見れば、東西の作家から受けた影響を昇華した彼女の感受性にも驚くはずだ。

ルーシー・リー《白釉鎬文花瓶》 1976年頃 国立工芸館蔵 撮影:品野塁

ルーシー・リー《鉢》 1926年頃 個人蔵 撮影:野村知也

ルーシー・リー《ピンク象嵌小鉢》 1975‐79年頃 国立工芸館蔵 撮影:アローアートワークス

ルーシー・リー《黄釉鉢》 1958年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野塁

Information

移転開館5周年記念 ルーシー・リー展‐東西をつなぐ優美のうつわ‐

国立工芸館 石川県金沢市出羽町3‐2  開催中~11月24日(月)9時30分~17時30分(入館は閉館の30分前まで) 月曜(9/15、10/13、11/3・24は開館)、9/16、10/14、11/4休 一般1200円ほか TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)

文・山田貴美子

anan 2462号(2025年9月10日発売)より
Check!

No.2462掲載

素を磨く 2025

2025年09月10日発売

SNSでの映えや盛りの応酬に疲れ、等身大の自分に回帰しつつある今、表面や小手先ではなく、基本と本質に立ち返る「素を磨く 2025」特集。AIに負けないこれからのスキルや、爪や歯といった先端を整えるパーツケア、QuizKnockと学ぶ数学的思考、達人に聞く最新の語学マスターメソッドなど、各種の素を磨くメソッド=素活をご紹介。

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2026.6.
5
FRI
  • 六曜

    ⼤安

  • 選日

    天恩⽇ ⽉徳⽇

喧騒に惑わされず、⾃分の軸を意識して過ごしたい⽇です。⽬標を掲げて新しいステージへ駆け上がるのに良いタイミングですが、ストイックになりすぎるのは逆効果。適度な「遊び」や⼼のゆとりを持ち続けて。そして、何でも⼀⼈でやろうとしないで素直に⼿を貸してもらうことも必要。その柔軟性が幸運の扉を開く鍵です。

エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
信仰に生涯を捧げた女性の物語。映画『アン・リー/はじまりの物語』
信仰に生涯を捧げた女性の物語。映画『アン・リー/はじまりの物語』
Entertainment
ダイアン・津田が初の書籍を出版! 多忙な日々を感情のままに綴った日記『津田日記』
ダイアン・津田が初の書籍を出版! 多忙な日々を感情のままに綴った日記『津田日記』
Entertainment
哲学者・谷川嘉浩さん、振付演出家・竹中夏海さんが考えるエンタメの魅力
哲学者・谷川嘉浩さん、振付演出家・竹中夏海さんが考えるエンタメの魅力
Entertainment
望海風斗「登場人物の人生をお芝居として濃く見せていくような作品です」
望海風斗「登場人物の人生をお芝居として濃く見せていくような作品です」
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載